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え?ちょっと待って。ということはもしかして…
「突然どんなMなんだ、とか言い出した時は笑い堪えるの必死だったよ」
クククと喉を鳴らす。
「いや、それはそのっ!!!」
まさかそんなところも聞かれているなんて!
いや、初めから起きてたらそうだよね、聞かれてたよね。
手を必死で振ってみるけどさらに彼の笑いを誘うだけで何の効果もない。
「それから、寝顔を褒めてくれてありがとう」
嫌味満載のセリフとともに両頬を手でぐにっと引っ張られる。
「ええ、どういたしまして…」
「みかんの寝顔も可愛いよ。よだれとか垂らしててね」
よ、よだれ!?
「うそ!?」
「うそ」
こいつ、絶対私で遊んでる。
精一杯ゆずの顔を睨むけど、そんなこと全く気にする様子もない。
「早く準備しろ、朝飯食う時間なくなるぞ」
私の頭をガシガシと撫でると、寝起きとは思えない爽やかな笑顔を振りまいて部屋を後にした。
誰もいなくなった部屋に心臓の鼓動だけが聞こえる。
この鼓動は恥ずかしいセリフを聞かれたせいなのか、彼の笑顔のせいなのか、はたまたそれ以外なのか…
わからないけど、完全に彼のペースで始まった今日。
もうすでにぐったりです。私。
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