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俺達の父親は霧島家の長男で、エリート官僚で、と言えば聞こえはいいかもしれないけど、ただ自由な選択権の与えられていない人生を強いられている。
俺の母親とは見合い結婚だった。
本当に愛していたのは歩の母親、ずっと家族に結婚はその人としかしないと言い張ったが、結局は叶わなかった。
でも諦めることも出来ず、俺の母親と家庭を作りながらも、歩の母親とも家庭を作っていた。
俺の諦めの悪いところも少し卑怯なところもきっと親父に似たんだろう。
そして好みのタイプも一緒なのかもしれない。
俺が歩に出会った時にはもう歩の母親は亡くなっていたから、会ったことはない。
でも親父が歩の母親にぞっこんだったように、俺もあの瞬間に歩しか目に入らなくなった。
『大和、今日から彼がお前のお兄さんだよ』
そう言われて、親父の後ろから顔を覗かせた笑顔、今、「おかえり」と言いながら俺に向けられているものと同じその笑顔に、まだ小学生だった俺は心臓を鷲掴みにされた。
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