冷たい風の朝に

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寒い朝 冷たい空気の中 窓をいっぱいに開ける 薄明の空一面を覆う様に 白い雲が棚引いている そして朝露がはじけると 昨日までの日々が一歩遠ざかり この一日が香り立つ 夕べの吐息は砂の様に舞い上がり 聞こえて来るのは 新しい鼓動 大丈夫 これでいい 東の空の雲間から薄日が見えた 目を閉じると冷気が全身を優しく包み込む その時冷たい風が頬をそっと撫でる様に吹き抜けて行った 小さく頷いて目を開く 大丈夫 もう一度はっきり頷くと 大きく一息ついた 薄く白い雲に覆われた空を見上げて 静かに風を待つ 静かに飛び立つ風を待ち続ける             
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