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多少の人の入れ替わりはあったが、誰かが怯えるような事は無く体調を崩したりする事もなく5年が経った。 すっかり俺も慣れて、ああそういやそういう物件だったなと思い出すのは更新時にやたらと感謝されるからだった。 そんな頃に、そろそろまた新しいの入れるかーと募集してぱっぱと先輩の決めた新入社員と顔を合わせた時に思った。 あ、とんでもない奴が入ってきた。俺だったら絶対コイツは落とす。 今まで忘れていた、オブジェだった不可思議な物体がそいつ――待鳥(まつとり)の体に巻き付いていたからだ。 一瞬彼が化け物に見えてギョッとした。 何で急に、と不思議に思いながら待鳥の背中から叩き落とす。 まさか今更いろんな怪奇現象を巻き起こす気じゃないだろうな。 天井に張り付いた目の無い顔を睨み付けたが、それは杞憂に終わった。 簡単な事だ。この物件に変化が起こったんじゃなく、待鳥に問題があったのだ。 彼はただその辺を歩いているだけで何かを引っ付けてくる。 また動いている間にどっかに落としてくるみたいだから特に問題は起きておらず無事に過ごしている。 けれどここにいる奴らは中々に執念深い。 落とされても落とされても何度も張り付いたり巻き付いたりしている。それに奴らの行動範囲はこの事務所内だから外に捨ててきたと思ってもいつの間にか戻ってきていやがる。 待鳥の何に惹かれるのかは知らないが、とにかく毎日引っ付けている。 つけたままだと肩がこるのか調子悪そうにしているから、気が付いたらはがしてやるようにしていた。
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