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「赤司先生、質問でーす」
ノックもせずに、いきなり化学準備室に入ったすずちゃんに続いて、私も入室した。
おっとりしている割に行動は豪快なのよね、すずちゃん。
「あ、質問? いいよー、こっち来て」
「よろしくお願いしますぅ」
赤司さんの前に立ったすずちゃんから半歩下がった位置で、ひっそりと立つ。
「で? どこが分からないの? 秋野さんは」
「は? ……いえ、私は質問はありません」
プイッと横を向いて早口で返しながら、心の中で罵倒開始。
ちょっと! 何で正面に立ってるすずちゃんよりも先に、私に声をかけるのよ。
どう見ても、ここに用があるのはすずちゃんで、私は単なる付添いでしょ? 馬鹿なの? 空気読めないの?
――ブーッ、ブーッ
「あ、電話だ。ちょっと待ってね?」
私の罵倒途中で赤司さんのスマホが振動した。
「あ、ここあか……んだよ、こんな時間に。俺、今日は高校だって知ってんだろ?」
「……っ!」
『ここあ』? 女の、人?
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