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「ああ、そうだったね」
目の前の立花は余裕ある態度で受け流した。それでも、遥奈は食い下がった。
「……約束……先生……約束通り……私、頑張ったから……」
「ふふっ、少し意地悪し過ぎちゃったかな。大丈夫、分かってるよ」
遥奈のほうに向き直った立花が、両手を広げる。遥奈はうっとりとした顔で身を寄せなおし、今度こそ立花の胸に収まった。
そして、立花はそんな遥奈の頭を、胸に抱き寄せる。
「約束通り、テストを頑張ったご褒美をあげようね」
「はい……ごほうび……ください……♪」
貴之の頭の中は真っ白だった。情けなく口を開いて、クローゼット越しにふたりの姿を見ていることしかできなかった。
立花が遥奈を抱き上げると、遥奈もその胸板にしがみつく。立花は遥奈をベッドの上に持ち上げて、移動した。
「ん、ちゅ……」
嫌な水音が部屋に響く。絶対に見たくないのに、それでも見えてしまう。いや、見てしまう──大切な幼馴染みが、他の男とキスしている光景を。
「ふぁ……せんせい……んっ……ちゅ……」
キスをしているだけでもショックなのに、遥奈は自ら唇を開き、立花の口の中に舌を差し入れた。
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