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ふたりの通う高校でも遥奈は人気で、何人もの男子生徒が告白しては振られている。きっと大丈夫だと思うも、いつまでもこの関係が続く保証はない。
今の関係を続けるためには、思い切って告白するしかない──そう思うものの、可愛くなりすぎた幼馴染みを前にすると、急に自分に自信がなくなってしまうのだ。
もし断られてしまったら、今の関係すら失ってしまうかもしれないのだから──。
「どうしたの? また変な目してるよ」
「え? いや、うん……」
「何か悩み事?」
歯切れの悪い貴之を気遣って、遥奈は心配そうに見つめてくれる。まさか告白するかどうか悩んでいるとは本人には言えない。
でも、目の前の大切な存在を失いたくない気持ちがますます強くなってきて、貴之の決意は固まりつつあった。
(そうだ、やっぱり戸惑ってちゃ駄目だ。俺は遥奈と恋人になりたいんだ)
──そして、これからもずっと、目の前の幼馴染みと一緒に人生を歩んでいきたい。
無言のままの貴之を、遥奈は心配そうに見つめ返してきた。
「……? 本当にどうしたの?」
──告白するなら、今がチャンスかな。
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