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立花は子猫を撫でるように遥奈の頬に手をあてて、ゆっくりとくすぐった。
「先生……ん……はぁ……」
「……でも、そうか、残念だよ。僕は、遥奈の気持ちよくなってるところ、すごく綺麗だと思った。可愛いかった。だから、こんなに硬くなった。嬉しくって、遥奈が大好きになって……だから遥奈にしてもらえたら最高だろうって思ったんだけど……」
そこで立花は言葉を区切った。貴之の心に嫌な予感が広がった。
「それは僕の、一方的な気持ちだったんだね……」
「……え?」
立花の言葉に、遥奈はたやすく反応した。目を丸くして、一瞬後には、不安そうな表情になる。
「……すまない、ちょっと愚痴っぽかったね。忘れてくれ」
それでも立花は心にもないことを言った。その様子に、遥奈は戸惑いの色を見せる。
「じゃあ、今日の勉強はこのくらいにして……」
「ゆ、裕也さん……!」
立ち上がろうとした立花に、遥奈は必死の形相でしがみついていた。
「や、やります! わたし、やりますから!」
一瞬、立花の口元が緩んだのは気のせいだったろうか。
「でも……君はたかくんがいいんだろう?」
「違います! 絶対違います!」
名前を出されては、嬲られる。全力で否定する遥奈の言葉に、貴之の精神はズタズタにされる。
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