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「遥奈はよく友達と来るの?」
慣れた手つきで画面を操作する遥奈に、率直な疑問を訊ねる。
遥奈は画面を操作しながら答える。
「夏休みの時に教えてもらったの」
誰に教わったかは言わない。貴之もあえて聞かなかった。
「たかくん撮るよ!もっと近付いて」
「う、うん」
明るい音声の合図と共に、カメラが起動する。
カメラに笑顔とピースを向ける遥奈とは対照的に、貴之はぎこちない笑顔を浮かべる。
「あははっ!たかくん変な顔になってるよ?」
「つ、次はちゃんとやるから!」
プリクラを撮るとなると、必然的に2人の距離は縮まる。
「あっ!今のたかくん良かったよ!」
遥奈との急接近に、初めは戸惑った貴之だったが、枚数を重ねる内に笑顔で撮ることができるようになっていった。
プリクラを印刷し、2人で確認する。
「やっぱ最後のが1番よく撮れてるね!」
楽しそうに微笑む遥奈に、貴之も同意。
次はどうしようか、と訊ねる貴之だったが、遥奈は数秒考える素振りを見せると意外な提案をする。
「もう1回、プリクラいいかな?」
両手を後ろに、頬を赤らめ上目遣いで……
「次は……特別なの撮ろ?」
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