30人が本棚に入れています
本棚に追加
再び筐体に入る2人。
「(特別なのって……遥奈は何を……?)」
内心期待しながら、画面を操作する遥奈を見つめる。
画面越しに目が合うと、貴之は咄嗟に目を逸らした。
彼の内心を見透かしたかのように、遥奈は口元に笑みを浮かべる。
いつもと違う、艶めかしい笑み。
横目で見ていた貴之の鼓動が高鳴る。
「たかくん、後ろ向いててもらっていい?」
素直に従い後ろを向く。
布切れ音が聞こえ、流石に声をかける。
「は、遥奈?それは流石に……」
「大丈夫だよ。ここの店長さん友達だから」
本当になんてことの無さそうに答える遥奈。
このゲームセンターの店長は30代の男性だ。
友達だから大丈夫という理屈が分からない。分かりたくなかった。
しかしそれ以上に、期待感が勝ってしまった貴之はこれ以上の追求を止める。
布切れ音が続くにつれて、期待感が高まっていくのが分かった。
「……いいよ、たかくん」
ゆっくりと振り返る。
最初のコメントを投稿しよう!