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身体を擦り寄せたまま、貴之に背を向ける。
「じゃあ、撮ろっか?」
そう言われて貴之は思い出した。自分達は今、プリクラの筐体にいるのだった。
「遥奈……本当にいいの?」
「なにが?」
「いや、プリクラ撮るのに……下着姿で」
吃りながら問う貴之に、遥奈は背を向けたまま悪戯っ子のように微笑む。
「たかくんは嫌なの?」
「嫌ってわけじゃなくて、なんて言うのかな……」
会話がイマイチ噛み合わず、どう聞くべきかと悩む貴之。
遥奈が先に口を開いた。
「もう始まるよ」
遥奈は強引に貴之の右手を握ると、そのまま自分の胸に押し当てる。
同時にシャッター音が響いた。
「えへへ、どうかな?」
楽しそうな笑みを向ける遥奈。
貴之は言葉を詰まらせた。
掌に伝わる感触に、心を奪われる。
「は、遥奈……」
「ん?なぁに?」
続く言葉が出てこない。自分が何が言いたいのかも分からない。
遥奈は振り返り、今度は左手に指を絡ませた。
口元に艶めかしい笑みを浮かべ口を開く。
「こっちは……どうする?」
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