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「たかくん……」
貴之の頬に遥奈の指が触れる。
なぞるように頬を両手で包み込まれ、貴之は顔が熱くなるのを感じた。
「私……たかくんの彼女になりたいなぁ」
ねだるような甘え声。
潤いを帯びた唇が近付く。
遥奈から目が離せない。
「ん……」
唇が触れた。
想像していたよりずっと柔らかく瑞々しい。
初めてだからか、好きの人の唇だからか、ほんのりと甘酸っぱい。
この感触をもっと味わいたく、遥奈に倣って目を閉じた。
唇が離れる。
離れていく熱に、名残惜しさを感じつつ瞼を開く。
熱を帯びた艶っぽい表情に、鼓動が高鳴る。
「遥奈、俺と付き合ってくれ」
言いたかった、言い出せなかった告白。
今度は無意識ではない。
遥奈の目を見て、真っ直ぐ告げる。
「幼い頃からずっと遥奈のことが好きだったんだ。俺と……恋人になってくれないか?」
言い切って、一息つく。
長年の思いを告げられたことに、開放感に似た高揚があった。
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