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「な、なぁ遥奈」
ゲームセンターを出ると同時に、貴之が口を開いた。
遥奈がこちらを向くのを確認すると、照れを隠すように頬を掻きながら続ける。
「こ、恋人になったんだし……これってデート、だよね?」
言葉にすると実感が増し、顔が熱くなる。
遥奈も嬉しそうに答える。
「うん、放課後デートだね♪」
増々顔が熱くなるのを感じつつ、貴之は言葉を続ける。
「その、手繋いでいい?」
「ふふっ、たかくんったら照れなくていいのに」
遥奈の指が貴之の右手に触れる。滑り込めせるように掌を合わせ、指を絡ませる。
所謂恋人繋ぎだ。
「それに……」
蕩けるような甘え声。耳元に遥奈の唇が近付く。
「さっきまでもっと凄いこと、シてたでしょ?」
耳に吐息が触れる。不意打ちのような快感に背筋が震える。繋いだ手に力が込もる。
遥奈を見ると、悪戯っ子のように微笑んでいた。
「あれ?今の良かった?」
無言で頷くと、遥奈の笑みが更に深まった。
「行こっか、たかくん」
後に続くように貴之も歩き出す。すぐに隣に並び訊ねる。
「どこに行くの?」
「うーん……」
わざとらしく考える素振りを見せる。
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