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期末テストが終わって、学校は既に夏休み気分。授業は半日で終わり、今は下校時間。
貴之と遥奈は、いつもの家路を歩いていた。
(遥奈……なんだか最近、ますます綺麗になったような……)
あれからも進展はないまま、一ヶ月半が過ぎていた。貴之は、ついため息をついてしまいそうになり、慌てて堪えた。そんな貴之とは対照的に遥奈は御機嫌だった。
「まさか、こんなに点数取れちゃうなんてびっくり♪」
いつも平均点かそれ以下だった成績が、貴之と同じくらいになっていたのだ。
「その……良かったな」
「うん♪」
満面の笑みを浮かべる遥奈。しかし、貴之はそれを素直に喜べなかった。なぜなら──
「これも裕也先生のおかげだよ。ふふっ」
そう。遥奈の成績が上がったのは、家庭教師である立花裕也のお陰なのだ。有名私立大学のイケメンで、スタイルもファッションセンスも良い。
貴之も家の前で何度か見かけたことがあるが、男の自分から見ても格好良いと言わざるを得なかった。しかし、どこか軽そうな雰囲気で、貴之は良い印象を感じなかった。
「先生ってね、教え方が凄く上手なの。学校の授業だと解りにくくて眠くなったりするんだけど、先生の授業ではそんなこと全然ないの。すごいよね?」
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