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どうせ煙りの臭いなんかには気づきもしないだろうと、まだ多少まともに頭の働く生徒たちは、一様にニヤニヤといやらしい笑いを浮かべている。 大人の目の前で道徳に背く行為をみせつけ、相手が何も言えず引き下がった後に抱くだろう罪悪感を蔑んででもいるのか。 何にしろ、これまで彼らの周りには、ろくな大人がいなかったことを、雄弁に物語る笑い方だ。 ところが、 「これは、日本では禁止されているんじゃなかったか?」 男は部屋を去らなかった。 それどころか野暮ったい外見のわりには鋭く気づいて指摘してくる。 しかし、 「あぁ? 関係ねぇよ」 葉っぱでハイになっていたのだろう。 ひとりが、男に向かって突っかかっていく。 瞬間ーー、 視界がグルンと回転する。 「あ?」 自分が何をされたのかわからないうちに、男は床に転がされていた。
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