初合

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『それ』は動いた… 獣のような速さで いや、風のような迅さで。 漆黒の闇を纏いながら ただただ迅く。 瞬! 鋭い金属音が鳴り響いた 『それ』との一合目… 刹那! まるで枯れ木が倒れるかのように 『それ』は倒れた。 たった一瞬の出来事だった。 『それ』の走りながら 力まかせに振り下ろされた刃を 陸皇丸が受け止めた。 と、同時に 海湟丸が横一閃に薙いだ。 「なっ!うまくいったろっ?」 「よしっ、じゃあいくぞっ!」 二人は自分達の刀を 『それ』の心臓の辺りに突き刺した。 「まったく…あなたって人は…」 言いながら『それ』の握っていた刀を拾い上げ 「封じれますかね?」 「あぁ…百年もすれば 、ここは立派な森になる… それまでオレ達が守ろう、 子や孫や…その孫の代まで…。」 一陣の風が吹いた…。
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