1094人が本棚に入れています
本棚に追加
『それ』は動いた…
獣のような速さで
いや、風のような迅さで。
漆黒の闇を纏いながら
ただただ迅く。
瞬!
鋭い金属音が鳴り響いた
『それ』との一合目…
刹那!
まるで枯れ木が倒れるかのように
『それ』は倒れた。
たった一瞬の出来事だった。
『それ』の走りながら
力まかせに振り下ろされた刃を
陸皇丸が受け止めた。
と、同時に
海湟丸が横一閃に薙いだ。
「なっ!うまくいったろっ?」
「よしっ、じゃあいくぞっ!」
二人は自分達の刀を
『それ』の心臓の辺りに突き刺した。
「まったく…あなたって人は…」
言いながら『それ』の握っていた刀を拾い上げ
「封じれますかね?」
「あぁ…百年もすれば
、ここは立派な森になる…
それまでオレ達が守ろう、
子や孫や…その孫の代まで…。」
一陣の風が吹いた…。
最初のコメントを投稿しよう!