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「いつも通りだよ。まあ…教頭は煩かったけどさ。それより圭吾、これ何とかしてくれない?」
「それこそいつもの事だろー?俺宛の手紙じゃないんだし、一通位はちゃんと読んでやれよー」
圭吾は、羨ましいと言いながら笑った。何が羨ましいのか、理解出来ない。毎回毎回下駄箱がポスト状態になっているのは本当に困るし、手紙を読むつもりもないからだ。
「あ、昨日の科学の宿題やったか?俺、昨日やってなくてさ。写させてくれたらそれ、何とかしてやってもいいぞ」
「…それが狙いか。いいよ、別に。宿題、昨日の休み時間の内に終わらせたから。帰ってからやるのなんて面倒だろ」
「かーっ!!この優等生!モテ男!!」
圭吾はそう悪態をつきながら、僕からノートを奪う。圭吾は顔も広く、調子者で明るい。スポーツ馬鹿で勉強は苦手。クラスに一人居るムードメーカー…って奴かな。
僕とは性格や考え方、何一つ合う所がない。けど、そんな僕にも圭吾は普通に接してくれるし、僕にない物を圭吾は沢山持っている。一緒に居て、飽きないんだよな。面白いから。
「そーいやさ、今日1時間目って体育だよな」
「…はぁ、そうだったね。もうちょっと遅刻してくれば良かった」
1時間目から体育の日だって事、忘れてた。朝から運動なんて、猛烈に怠い。圭吾はサッカー部で体育は得意だから目が輝いてる。
「何言ってんだよ、お前。運動神経も抜群に良い癖に。本当、性格以外欠点ないよなー」
「余計なお世話」
僕と圭吾がそうやり取りをしていると、遅れましたと矢嶋さんが勢い良く教室に入ってくる。因みに今のはホームルーム中。担任の先生の長い話に静まり返った教室内。そこに元気よく入ってきたものだから、まあ浮くよね。ドッとクラスメイト達が笑った。
矢嶋さんは軽く頭を掻きながら席に着く。
「はー、矢嶋。マジ可愛いよなぁ」
「へぇ、圭吾の趣味ってああ言うのなんだ」
もし矢嶋さんと圭吾が付き合う事になったら凄く煩そう。2人共明る過ぎる位だし。お似合いではあると思うけど。
「似合ってるんじゃない?頑張れば、圭吾」
「無理。最強のライバルが目の前に居るし」
「………は?」
「お前だよ!見た目も良いし、成績優秀、運動も出来る!お前にゃ敵わないって…。それに、矢嶋がお前の事が好きってクラスの女子と話してるの聞いたんだ」
はぁ、そうなんだ。手紙も何度か入ってたし、毎朝声をかけられるのはそう言う理由からだったのか。僕からすれば、圭吾の方が矢嶋さんと似合うような気がするけどな。
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