序章-アリスからオズへ-

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ああ、疲れた。朝からやっぱり動き回るものじゃないな。今日の体育は女子も同じ体育館でバレーをやっていたから、途中聞こえてくる歓声やら何やらが凄かった。何でたかだかシュートを決めただけで、ああもはしゃげるのか全くわからない。そして、女子からの視線は痛いし。僕は珍獣か何かか。 次からは普通の授業だから一安心だ。 「いや、俺なりに考えただけどさ」 「何?」 昼休み。教室で圭吾と一緒に弁当を食べる。圭吾は売店で買ってきた弁当を。僕は母が作った弁当を拡げて食べている。 「手紙だよ。ラブレターお断りって、下駄箱に書いておくのがいいんじゃないかって」 「新聞お断りみたいに言うのやめろよ…。それ、凄く馬鹿みたいじゃない?」 ちょっと想像してみる。普通の下駄箱に手紙お断り書いた紙か何かを貼ったとする。…駄目だ、無理。何の罰ゲームなの。 「やっぱナシ。それ、凄い浮くから」 「無難に先生に相談してみんのが一番じゃねーの?お前が困ってるのは確かなんだしさ」 それは、まあ…さっきのよりは大分現実的だし、有りだ。一度担任に相談してみるか。 圭吾とたわい無い会話をしながら、昼休みが終わり、午後の授業に入る。 傾いた日差しを見ながらぼんやりと授業を受ける。1日が過ぎるのは、あっと言う間だ。 こうして繰り返し、同じような日々が続いていくんだろう。だとすれば、本当にこの世はつまらない。酷く退屈で、窮屈だ。 放課後、圭吾は部活があるので僕は自然と1人になる。また下駄箱がポストになってないといいけど。憂鬱な気分で、僕は下駄箱を開けた。朝に整理したお陰で、何通かしか入ってなかった。それでも手紙が入っているんだから驚きだ。とりあえず、持ち帰って処分しないと。溜息をついて僕は手紙と靴を取り出した。 「立花君」 靴を履いた所で呼び止められた。振り返ってみると、矢嶋さんがいた。 「あの、その…帰り道一緒だし。良かったら、一緒に帰ってくれると、嬉しいかなー、なんて」 「構わないけど」 あっさり僕が返事を返したのが意外だったのか、矢嶋さんは顔を真っ赤にして慌てていた。変なの。自分から誘ったのに。 「ありがとう!じゃ、一緒に帰ろ!」 そう言えば、矢嶋さんは僕が好きらしいと圭吾が言っていた。挙動不振な態度はその辺りから来るのかな。帰り道でも矢嶋さんは終始落ち着かない様子だった。 「えへへ、何だか嬉しい」
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