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「しかたないよ。がんばって、ガマンしようよ」 「うん。早う逃げへんと、ころされるし」 「ころされる?」 「そうやと思う。ぼく、見たらあかんもん、見てしもたみたい」 そうそう。たけるが、そんなこと言っていた。 「とおるくん。なにを見たの?」 「わかれへん。けど……あのことなんかな? 前に、みんなで、ここに来たとき、ぼくだけ外で待っとったやろ?」 うん? なにやら聞きずてならない。 「ちょ……ちょっと待って。前に、ここに来たときって……」 「前に来たやんか。きもだめしするんやって」 やっぱり、そうなのか! 「まさか、ここって、お……オバケ屋敷?」 「そうや。どこやと思ったん?」 ぎゃあーッ! イヤだ。 オバケ屋敷に閉じこめられてしまったー! 「ええっ、なんで、オバケ屋敷だってわかるの?」 「だって、あいつが言うたんやもん。ここ、きみたちの来たがった、オバケ屋敷やぞって」 「うう……」 まっくらなだけで怖いのに、よりによって、その場所がオバケ屋敷。 「早く、にげようよ」 かおるは泣きそうになって、とおるくんをせかした。こんなところに、もう一秒だって、いられない。 そのあと、かおるは、とおるくんと二人で、いっしょうけんめいガムテープをはがした。 「イテテ、いたいよ。ちょっと、きゅうけい」 「そんなん言うて、早うせんと、オバケ来るで」 「ううっ。じゃあ、はがしてよ」 ガムテープをビリビリむしりとられる、つらさ。ことばにできない。 どうにか、二人とも自由の身になったのは、何十分後か。 「いたい……手がヒリヒリする」 「ぼくもや。皮めくれるかと思うた」 「ネバネバするし……」 でも、そんなことを言ってる場合じゃない。 「にげようか。とおるくん」 「うん。でも、ぼく、へいの穴、くぐれへん」 「穴はもう、ふさがれてるよ」 「ほなら、どこから、にげだすんや?」 かおるも、それは考えてなかった。こまった。 「げんかんのカギ、はずすことできないかな?」 「うーん?」 「とにかく行ってみようよ」 かおるは、とおるくんを説得して、げんかんまで、ようすを見にいくことにした。 まっくらやみにも少し目がなれてきた。 四方がカベだと思ってたけど、どうやら、いっかしょだけカベじゃない。スキマがある。 「ここ、押入れのなかなんだね」
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