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「校長先生のお話の最中だぞ。ちゃんと聞かないか。」 「はい。」 「全く。来年から高校生、規律ある行動をとりなさい。」 「はい。」 全く理解も、共感も得てはいないが頷く俺の反応に仕方のない生徒を一人諭してやったと言わんばかりに去っていく。 ああいう熱血と言うか"良い言葉"を言いたがるタイプは、自分の言葉に同意を得ると自分の言葉で何かが変わったような錯覚を得てるのだろう。 体育館の壁際に並んだ教員達と同様に立ち、隣の教員へ嬉々と言葉を紡いでいる。 大方、「参ったものですね。ですが、一教員として生徒の過ちを正すことは教育者として当然の事です。」とか、話しているのだろう。 俺も大人になれば、ああなるのかも知れないけど。 自分の得てきた経験で作ったルールブックに全てを当て込もうとする。 そんな大人に…。
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