これから

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       ―Ⅰ―    政王執務室ではルークとスーが待っていた。 ふたりも、レテリム港まで迎えに行こうとしたのだが、もう少しで仕事が終わるところだったので、執務室で待つことにしたのだ。 仕事を終えてすぐ、アークがサリたちを伴って戻り、再会を喜び合う。 ユラ-カグナも来て、ひととおり挨拶が済むと、一同…アーク、ルーク、サリ、ミナ、デュッカ、ユラ-カグナにロア、そして彩石騎士全員とライネスとムトとハルは、食堂に向かった。 サリたちは、慣れ親しんだアルシュファイド王国の料理に、帰ってきたことを実感する。 食事が終わり、談話室に行くと、アークとルークは、零の月の祭りのことを話した。 やがて14時になると、報告などのため、一同は政王執務室に戻る。 部屋では、地図が置いてある、腰ほどの高さの机の前で、アークが状況説明を求めた。 ルークは先ほどまで作業していた地図上の印を示して、北方沿岸部全ての結界点を回ったことを報告した。 「どこも問題はなかった。僕の目で見た限りではね。ミナが見たら違うかも」 「こちらも異常はなかった」 ロアが言い、同じ地図上に印を付けていった。 「サーシャ国は結局動かなかった。相変わらず、自国の近海をうろうろしてたけどね」 ルークの言葉に応えて、アークが言った。 「そちらから、書簡が届いたわ。ビルデバランからも。彩石騎士がザクォーネに居るのはどういうことかとね。両方に、彩石判定師と側宮の護衛だと答えておいたわ。ミナ、サリ、あなたたちの存在を公にした。今後は身辺に気を付けるように、特にミナ」 ミナはおとなしく、はい、と答えた。 ライネスが口を開く。 「…南だが、ビルデバランの海軍に動きはない。海賊もおとなしくしている。一部狩ったのを知って、慎重になっているのかもしれない」 「海岸警備は問題ない。真夜も特に警戒していたが、動きはなかった」 シィンの言葉に頷き、国内は以上ね、とアークが言った。 「次は…、ビルデバランの者たちについて聞きましょうか」 促されて、ライネスが口を開いた。 「フレル港沖でビルデバランの軍艦を発見。中には20代の兵士がふたり、少年兵20人、その家族が大人2人、子供13人」 ライネスは言葉を切り、腕を組んで地図を見た。 「セムズ港へ行く途中、力が尽きてほとんど漂流していたそうだ」 どの国でも、船の動力は術者頼みだ。
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