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ムトとハルが、それぞれ頷いた。
「ミナの国内巡視は、ルークとロアの作業がうまくいっているかと、結界石の寿命を見てもらいたい。一年もてばいいけど、それより短いものは早急に取り換えるからそのつもりで。そして、レグノリア以外のすべての結界石の寿命を教えて」
「はい」
「デュッカは」
「巡視に同行する」
間髪を容れず言うデュッカに、何かを言おうとするアークだったが、デュッカは重ねて言った。
「それで居所を知ればいい」
ロアが溜め息をつき、アークは口を開け、閉じると、激情をこらえた。
デュッカは元々、放浪癖がある…というかもう、失踪癖と言っていい。
それで何より問題なのが、居所が判らないということ。
その居所を知らせる代わりに、同行を認めろというわけだ。
むろん、認められなければ、たとえミナの側にいたとしても、呼び出しなどは無視するに違いない。
アークは頭のなかでデュッカを罵り尽くし、しばらくして顔を上げた。
「分かったわ…行って」
デュッカは満足げに頷き、ミナはちょっと嬉しく思う自分に蓋をした。
「…こんなところかしら。質問は?」
ムトが片手を上げる。
「巡視は行きっぱなしか?何日か置きにレグノリアに帰ったりはしないんだな?」
アークは頷いた。
できることなら度々帰ってもらいたいところだが、ミナたちには負担になる。
「回る順序とかは自由でいいわ。船が必要なら、そうね…マデリナ・クィッテを使って。軍艦には客室がないから」
「結界石の位置やその他の資料は彩石騎士居室だな?」
アークは頷いてシィンを見た。
「半の日に貸せるように用意しといて」
「分かった」
「じゃあいいかしら…みんな、ご苦労だったわね。帰ってゆっくりして」
その言葉を合図に、サリたちは執務室を出た。
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