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ユラ-カグナは机の端に置いてある書類入れを示した。
三段に分かれた箱が、斜めに固定できるようになっていて、下段、中段の書類もそのままの状態で取り出せる。
テオの貰った器は陶磁器に近く、軽かったが、こちらは硬いものの、紙のようなのに、ほどよい重さで、書類を取り出すたびに動いたりしない。
「三段あるから処理済み、処理中、未処理と分けられるし、机の上に置いても、書類一枚分の空きがあればいい。前は箱を横にふたつ並べて、未処理と処理中の二種類しか置けなかった」
「おお、それは便利な…それより聞いたかい、これメグスで作ったらしいよ」
「ん、そういえばそんなことを言っていたな。アークは綿袋ならぬメグス袋を貰っていたぞ」
「なんだいそれは!ああ、収集官には土産を持ってくるように教育しとくんだった!」
「そんなことをすれば物が溢れるだろうに」
「うっ、それもそうか…しかし今頃メグスの商品の多様さに気付くとは…」
ユラ-カグナは目を細めた。
「おまえは何を受け取ったんだ?」
「器だよ…薄くて軽いのに、食器として使えるなんて…ていうかメグスは主に紙になるんだよ。紙で食器作るかい?作らないよね!」
「少なくともアルシュファイドにはない技術だな。メグスとやらの特性なのかもしれんが」
「とにかくアークにもメグス袋?見せてもらおう…邪魔したね」
そう言ってテオは部屋を出た。
ユラ-カグナは、書類入れを改めて手に持ち、肌触りや重さ、繋ぎ金具の動きを確かめた。
メグス袋を見たときは、これを細かく砕いたようなものが入っているのかと思ったが、違うのだろうか?
ユラ-カグナは真相を確かめてみたくなり、立ちあがって部屋を出た。
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