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「それも、装備が重いようで、少し警戒しています」
サーシャ王国は海軍の多さで有名な国で、アルシュファイド王国の北方における東隣国だ。
点在する島に潜む海賊への備えもあるが、それに対する、頻繁な討伐の実績を誇っている。
そのため、北方での海賊の噂はほとんど聞こえない。
軍備縮小していてもよさそうなものだが、彼らの軍備拡張は止まるところを知らない。
その動きを、危うく感じるのは、ルークだけではない。
異国の為政者が何を思うのかは知れないが、取り敢えず、こちらも、最低限海賊への備えをしなければ。
海賊はなにも、船だけを襲うとは限らないのだ。
港町だって充分に襲撃を受ける可能性はあるし、実際、他国にはそんなこともあった。
アルシュファイド王国は、ルークが現在居る北方のセイ島や南方のエラ島を基点に、海上にも絶縁結界を展開している。
このため、海賊からですら、アルシュファイド王国は侵略の歴史を持たない。
その守りをザクォーネ王国にも。
そう望む彼らの願いを叶えるため、ルークは今、この地に居る。
彩石騎士という大きな軍事力を国外に出す以上、備えが必要だからだ。
ルークは見知らぬ異国を思う。
今日、親しい者たちがザクォーネ王国に向けて発つ。
南の空を見て、ルークは、その旅の無事を、心から願った。
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