旅の一行

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       ―Ⅲ―    ムティッツィアノ・モートン…通称ムトは、彩石判定師ミナを守るための騎士団、ハイデル騎士団の団長だ。 とはいえ、諸々の雑務は、主にセラム・ディ・コリオが仕切っている。 ムトは、最終判断の時、迷う騎士団をまとめるのが仕事だ…というか、いつの間にかそうなっていた。 「おはよ。ふたりとも早いな」 ハイデル騎士団居室にアニーステラ・キャル…通称アニースが入ってきたときも、ムトは迷うセラムに、団長としての判断を伝えていた。 「そう言うアニースも早いな。荷物は?」 「王城の玄関に行ったら馬車が並んでたぞ。私はそこで預けてきたけど?」 「問題ない。アニースも見てくれ。1艘目の乗り方で迷っているそうなんだが、俺はこれでいいと思う」 今回行くザクォーネ王国では、3艘の船による水上移動が主な交通手段だ。 このためセラムは、2人ずつ並んで乗るそれぞれの位置決めをしているらしかった。 1艘目の船首には、同じくハイデル騎士団のスティン…スティルグレイ・アダモントと、アニースが座る。 それから、ムトと、案内役であるザクォーネ王国保安庁国境管理部部長、ザハリラ・ウェルコクが並び、側宮護衛団のカル…カーライト・ヘルイストと、マラート・クウェメントが並ぶ。 その後ろにハイデル騎士団のヘルクス・ストックとサウリウス・ハングロが並び、船尾にステュウ・ロウトと、彩石騎士のアルが乗る。 「アルの位置取りは本人の考えが優先されると思うんだが、彩石騎士は前面に出さない方がいいと思うから、スティンとふたりで前方警戒を頼む。全体的なところは、ステュウに任せる」 ムトに言われて、アニースは頷いた。 「2艘目、3艘目も決めているのか?」 セラムは手元の紙をアニースに向けた。 「一応決めてはいるが、船の実物を確認してから、決め直すことも考えている」 アニースはざっと見て、2艘目と3艘目の者たちを確認した。 2艘目にはまず、護衛対象者であるミナ。 それに付き添うデュッカ。 戦闘を訓練されてはいない水の側宮サリ。 その護衛団のリザウェラ・マーライトとスエイド…マゼラスエイド・サーゴイル。 彩石騎士のカィン。 あとは、セラムと、同じハイデル騎士団のイルマ・リ・シェリュヌにパリス・ボルドウィンと、案内役を兼ねるラシャ・ベルツィオ。 3艘目には側宮護衛団のハル…ハロルディン・ノーストリオとメイニオ・カロナイア。
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