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これでも初めは、キチンとした食事を摂っていた。
実家から送られてくる米と野菜で馴れないながらにしていた自炊。
でも大学の勉強とアルバイトが忙しくなるにつれて外食の比重が多くなっていった。
初めての一人暮らしは悪い意味でも自由だった。
3食コンビニがあたりまえになって、
ストレスを感じると無性に食べたくなって、
味の濃いものをひたすら求めて、
ファストフードにコーラにチョコレート、
マヨネーズにバターに揚げ物に菓子パンにカップラーメン。
すっごく美味しい食べ物がこの世には溢れている、と。
食べると心が満たされて、しあわせな気持ちがする。それなのに体はどんどんと怠く、重くなっていった。
あまり外出をしなくなったけど、コンビニにならどんなに夜中だろうと出かけた。
実家に帰らなくなったのも、どこかで自分がおかしくなっている自覚があったんだと思う。
「入院の一歩手前。ほんとなら病院に直行だ」
隆ちゃんが言う。
「全部が全部悪じゃないけどな、やりすぎだ。」
今にして思えば、倒れたのはきっと体からのSOSだったんだ。
『中毒』
言われて、しっくり来た。
自分の意思とは無関係に沸き上がる欲求を、私は止められなかったんだから。
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