精進☆ガール

6/12
前へ
/12ページ
次へ
畑で収穫したきゅうりを丁寧にカゴヘ入れる。 森丸寺に来てからきゅうりは私のNo.1フェイバリットフードと言っても過言ではない。なぜって、きゅうりの糠漬けがここで一番味の濃いものだから。 それに合わせる主食がモソモソの玄米というのが惜しいけど、とにかくもう薄い味付けにはうんざりなのだ。 私がブチブチと腐りながら作業をしていると、後ろでは女子大生5人組がキャッキャしながら実に楽しそうだ。 ……チッ 聞こえてくる声の、その浮かれた内容に内心舌打ちをする。 「隆信さんめっちゃ格好いいよねぇ」 「あたし隆信さんだったら彼氏と別れてもいいかもぉ」 まんまと騙されて……隆ちゃんなんて外面が服着て歩いてるような奴なんだからね! 「分かるー! しかもこの寺の跡取りなら何気に将来玉の輿じゃん」 「それにさ、ここの生活も案外悪くないっていうか……2泊しただけなのに肌の調子とかめっちゃ良くない?」 観光気分でたった2泊しただけで、ここの生活の厳しさが分かるか! 「夕方帰らなきゃいけないのがなんか残念なくらいだよね」 なんなら代わってくれよ!! こっちは期限未定で強制収容だよ!! それにあれでしょ、なんだかんだ言いつつ今日の夜、焼き肉とか行くんでしょ!! 『修行おつかれ☆うぇーい☆☆』とか言って飲みに行くんでしょ!! 「うぅー……」 ずるい……ずるいよ!!! 私が羨ましさと妬ましさと被害妄想で唸っていると、その声が聞こえたのか女子大生が話しかけてきた。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加