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「あの、大丈夫ですか? もしかして具合が悪いとか?」
そうですよね。一人うずくまって唸ってたらそう見えますよね。
「あ、そういうんじゃないのでお気になさらず……」
5人はお喋りを中止して、心配そうにこちらを窺っている。
「ほんとですか?少し顔色が悪いですけど……無理しないでくださいね」
秘かに悪態をついていた身に優しさが染みるぜ……
「そうだ。一区切りついた所だし、少し休憩にして、おやつ食べましょう」
なぬ?! おやつ?! !
2泊コースにはおやつまで付くのか!!
女子大生達は見た目の派手さに反してとてもいい人達で、なんと私も一緒に誘ってくれた。
おやつは蒸かした芋だった。
正直あまり好きじゃない。でも分けてくれた彼女達の善意を無下には出来ない。
噛むごとに口の中の水分が全部持っていかれるけど、そのかわりに畑仕事のあとの冷たい麦茶が乾いた体を細胞から潤わせた。
「はぁ」
人心地ついて、鬱々としていたのは糖分と水分が足りていなかったのかもしれないと思った。
「お姉さんはいつまでここに居る予定なんですか? 」
5人組の中で、目がクリクリしていて一番人懐っこそうな子が私に聞いた。
「いやー、本当は今すぐにでも帰りたいくらいなんだけど諸事情によりまだまだ居る予定でして」
この中で私だけが居残るという現実を思い出して、休憩で少し楽になった体が途端にズシリと重くなった。
「えーと、諸事情? よく分かんないですけど……帰りたいなら私達夕方に山を下りるんで一緒に行きます? 」
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