精進☆ガール

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「……」 え!?!?!? 一瞬意味が分からなくて、意味が分かってからもそれが自分にとって都合の良い幻聴に思えて反応が遅れる。 「い、いいの?」 「あーはい。私達、8人乗りのワゴンで来てるんで」 この寺はかなりの山奥にあって。 勿論ここまで公道は整備されているけど、その道すら夜間には野生の動物がウロウロしているような僻地で、自力での下山(逃亡)はさすがに考えていなかった。 そうだよ……罪を犯した訳じゃあるまいし、ここに閉じ込められる所以は元から無いじゃないか。 なにを律儀に頑張っていたんだ私は…… 帰れる……帰れるんだ! コンビニのある東京へ!! 寺を出られるという思いがけない幸運に目を輝かせ、今なら自由という名の翼で大空へと飛び立てそうな気分だ。 と、背後で砂利を踏む音がして、顔を上げた女子大生の一言が飛び立つ寸前の私を絶望の淵へ突き落とす。 「あ、隆信さん!」 同時に私の脳内で終了を告げるりんの音がチーンと鳴った。 ギ、ギ、ギ、と油の切れた機械のようにぎこちなく振り返れば、そこには額に血管を浮かび上がらせながらも笑顔という、それはそれは恐ろしい形相の坊主がいた。 「やぁ、皆さん。何やら楽しそうな話をしていますね?」 「ひっ」 恐怖に顔をひきつらせた私を置いて、女子大生5人組は嬉しそうに隆ちゃんへ駆け寄っていく。 み、皆離れて! 奴から放出されているどす黒いオーラが見えないというの?!
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