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大仕事を終えたように、すっかりリラックスした様子の早瀬は、頬杖をつくと上目遣いに私を見た。
「で、お前はどうなんだよ?」
「え?」
「え、じゃなくてさ。付き合ってるヤツはいないの?」
「……いないけど」
「好きなヤツは?」
「……好きな人は、……いるよ」
それは、私の目の前にいる早瀬だ。
当の本人はその事実を知りもしないで、「それ誰だよ?社内?俺が知ってるヤツ?」と瞳を輝かせている。
今さら言えるはずがない。
もう何年も前から好きだったなんて。
「早瀬には言いたくない」
「なんでだよ?」
「……無理だから」
もうこれ以上追及しないで欲しかった。
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