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傷口を冷やす風が吹いた。血が冷たく感じる。今日はこんなに冷える日だったろうか。
空は黒く塗りつぶされている。いつの間にか夜になってしまった。土の上に寝転がりながら天を眺める俺の姿は、傍から見ればきっと寝ているだけにしか見えないのだろう。いや、血を確認できれば死体と思われるかもしれない。
鼻血を拭い、切れた唇も摩った。痛みが走る。随分痛めつけられたものだ。俺はただ、教室の隅でじめじめと生きているだけだろう。それが気に入らないのか? それでも殴られるほど悪いことじゃないだろうに。
ああ、痛い。もう少し寝ていよう。どうせ家に帰ったところで心配もされない。空が近く感じるなあ。そっちに逝けば楽になるのだろうか。なあ、兄さん、俺もそっちに逝っちゃダメかなあ。
なんて、阿呆なことを考えても仕方ない。死んだ先に天国はあるのだろうか。ないのなら、代わりにあるのは――なんだろうな。
明日も同じようになにかしらされるのだろうか。あいつらは気分屋だからな。まあ、いじめというのと少し違うことは分かっているが、これが毎日では体が持たない。
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