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「しとる、じいちゃんが毎晩俺の部屋に来て鬼連。」
思い出すだけでもぞっとする。
家は代々宮番として水神がまつられる丸水神社に仕えている。
祭りに出ることは大人へ一歩近づくという事だとじいちゃんに教えられた。
お前の親父も12歳の時に笛をふいとる。
ただ、俺にはそれがなぜ大人への一歩なのか分からない。
村のしきたり、と言ってしまえばそれで終わりだが。
ただ、憂鬱で仕方なかった。
「―――――平!雄平!」
朝から騒音とも呼べる大きな声が1階から聞こえる。
「あんた、今日水神様のお祭りやろ!!はよ起きな!!!」
まだ眠い。ほんとに行きたくない。
おばさん大丈夫、私が起こしてくる。
がらっと引き戸が空くと共に大きな声で俺の名前を呼ぶ。
「ごふっ!!!!」
油断している所にダイブしてくるバカ。
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