DOLL

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その奇妙な店は、私の職場から少し離れた雑居ビルの1階にあった。 見た目は何という事もない、普通のアンティークショップに見えるのだが、私が通勤中に開いていたことが無かった。 ただ木製の看板に、ステンシル文字で『人形の店』、と書かれているだけで、いつもクローズのプレートがドアに掛けてあり、営業時間の明記もない。 やる気の無い店長だなと、前を通りかかるたびに思ってはいたのだが、しがない50歳、サラリーマンの私には何の興味もない店だった。 一生関わる事の無い店だと思っていた。 1か月前の満月の深夜、ほろ酔い気分でこの店の前を通りかかるまでは。           ***
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