好き嫌いはダメ

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§  監禁されてから三日ほど経つ。  私は半ば絶望していた。  刑務所のようなコンクリートむき出しの壁に囲まれ、トイレと布団が敷いてある簡易的な小部屋に閉じ込められた私はお腹を鳴らしながらぐったりと横たわっていた。 「お腹空いた、」  三日前より随分と痩せたと思う。  ウエストは前よりくびれ、頬のラインもシャープになっているのが触っただけで分かるもの。 「おら、飯の時間だぞ」  と。  監視員が郵便ポストみたいに細い穴から食事の乗ったトレイを通して床に置く。  出てきたのはハンバーグだ。  ホワホワと湯気が立ち込め、美味しそうな匂いを発している。  けれど。 「いらないわ、こんなもの」  とてもじゃないけど食べる気にはなれなかった。単純明快、これはなんちゃってハンバーグなのだ。  材料まで遡ると九割はエリンギで構成されたまがい物のハンバーグ。  私はエリンギが死ぬほど嫌いなの。  ここに入って初日、食べさせられたエリンギお好み焼きも見た目は完璧なお好み焼き、でも食べてみたら吐き気を催すほどのエリンギの食感と味があった。  エリンギ嫌い、だから食べない。 「ふん、そのままでは衰弱していく一方だぞ?」  呆れた監視員はトレイを残して去っていった。  ホワホワと漂う匂いが恨めしい。  でも確かにこのままではマズイ。  死んでしまっては元も子もないわ。  だから私は決意を固める。   「ここから脱走するわ」
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