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約二時間、このビデオを見続けた。
この部屋に時計はないのであくまで体感だけど相当長い間見せられていた訳だけどぐったりした私を労ってくれるほどここの人たちは良心的ではなくてここから今度は字書きをさせられる。
「音読しながら書くんだぞ?」
「ふん!」
「いいからやれ」
「うぅ、」
まるで、というか脅迫でした。これはまさしく脅迫でした。
監視員は鋭い眼光で睨みつけ、言うことを聞かなかったら手痛い目に遭わせてやると言わんばかりの表情を私に見せた。
それはまるで般若のように恐怖を煽る。
私は従うしかなかった。
え、
「エリンギ、おいしい。エリンギおいしい」
「もっと大きな声で! もっと綺麗な字で書かんか!」
「ひゃうっ」
監視員は持っていた警棒で机を叩き、脅した。叩いた部分が凹んで、その威力をまざまざと見せつけられる。
ゾッとして背中が泡立つ。
何で私がこんな目に。
「エリンギ、おい、しい。エリンギおいし、い。うぅ」
あまりにも理不尽な出来事が続いて私はつい、涙腺が緩んでしまう。それでも書く手は止めず声も発し続けた。
今は耐えるのよ、私。
絶対に屈するものですか。
誰かに無理矢理矯正されてしまうのは嫌だった。私の意思を無視して私を変えられるのは絶対に嫌。だからコイツらの意思を内心で跳ね返し続ける。
§
書き物が終わると今度は外に連れて行かれた。向かった先はグラウンド。
グラウンドには私以外にも沢山の被害者らしき人がいて皆、悲壮感を漂わせながら監視員に連れられてきたようだった。
「今からお前たちにはグラウンドを十周走ってもらう。準備運動の後、我々の指示で動くよに」
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