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「え? クラスで分けないの?」
規則というか暗黙の了解で、残りものはクラスで分ける事になっている。
サクラさんの言葉は尤もだ。
僕らのクラスは豚汁で、終了時間の少し前くらいに完売したし僕は食べてない。
具材の中には嫌いな物があったし食べる羽目にならなくて良かった。
「それでも余ってんの。男子のカレー好きさに騙されたわ」
「なにそれ?」
「終わり頃になって完売すると思ったら『需要があるから追加しよう』って男子達が言うから追加で準備したら思った以上に残っちゃったの……」
「男の子達がまだ食べるんじゃないの?」
「……一日中見てたせいか見ても食欲湧かないらしくってさ……で、こうして救いを求めて来たのよぉ~」
「ははっ、なるほどね。わかった、いいよ」
「ありがと~! やっぱり持つべきものは友達だよー!」
マエダめ、残りものをサクラさんに食べさせるとは不届き者め……。
遠目に睨み付けてみるけどサクラさんの笑う横顔に視線は引き寄せられる。
「もー大げさだよ~。後どれくらいあるの?」
「……聞かないで。
って言いたいけどあと少しかな。一年生達が結構食べてくれたんだ」
「そっか、じゃあこれは私が配っておくよ」
「え!ほんとに? ありがと!」
「うん。あと少し頑張って!」
くそ! マエダめ、サクラさんを駒のように使う気か!
……くっ、でも友達を励ますサクラさんも素敵だ!
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