序章

3/4
前へ
/8ページ
次へ
「辞めな、銀二!」 甲高い女性の声が響き渡った。 呼ばれた男、銀二は拳を止め、声の主の顔を見て、 「なんだ居たのか、純玲(すみれ)団長」 真っ白な特攻服に身を纏う、身長148㎝程の小柄な女性。 彼女こそ、現在最強ギャングランキング3位の琉樹(るーじゅ)の団長、つまりマスターである。 「銀二、我々は純粋な走り屋だ、抗争など興味ない、あんたが一番に拘る気持ちは解るが・・・私の前で意味のない暴力はやめろ」 冷たく吐き捨てられた言葉を聞いた銀二は、 「団長のいう事は俺の中で絶対だ、もうやめるよ」 「同情はいらん!こいよ、続きやろうぜ銀二!」 両膝を地面につけながらも、必死に抗うガラシャツ。 銀二はその瞳を寂しそうに見つめながら、 「ごめん、俺の中で団長純玲さんの言葉は絶対だから」 「後悔するぞ!俺を生かしておくと!」 「後悔したいから、強くなってまた対戦しよう、こんな雨の雨の日じゃなくてな」 そう言って、悔しがるガラシャツを置いて銀二は、バイクにまたがった。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加