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父のハンバーグはフワフワで
箸でホロッと切れるし、
ハンバーグから出る肉汁(当時はキラキラと呼んでた)も
ソースもキラキラしていて
子どもながらにご馳走だなと思っていた。
母のハンバーグは少し固めで
箸で切るには少し力を入れるが
噛みごたえはあったと思う。
ソースはケチャップだけという
所謂庶民的な味。
父のハンバーグを食べるまでは
間違いなく母のハンバーグが絶品だった。
学校から帰ってきた時に
父の作るハンバーグの匂いが漂っていると
何だか特別な日のような気分になっていた。
私が父のハンバーグばかりを褒めるので
父がハンバーグを作る時には
隣について作り方を研究していたようだけど
母が父のハンバーグを再現出来ることはなかった。
父は、私が美味しい美味しいという度に
俺の愛情がたっぷりだからな、と豪快に笑った。
隣では、私だって愛情込めてるのに、という表情で
母は苦笑いするしかなかったようだ。
そんな母も、父のハンバーグが好きだった。
私と同様、父のハンバーグが一番美味しいと言っていた。
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