世界一のハンバーグ

7/8
前へ
/8ページ
次へ
そんなある日、父の古くからの友人から手紙が届いた。 何でも、息子さんがカフェをオープンさせるから お客として来てほしいというものだった。 本当は乗り気じゃなかったけど 父の代わりに来てほしいと言われると 無下にも出来なかった。 それに、お店の場所が 以前父が経営していた喫茶店のあった場所だったということが 足を運ぶ最大の理由となった。 私と母は、父の代わりにそのカフェに出掛けた。 メニューは、普通のカフェと変わらない。 コーヒーやら紅茶やら軽食がメイン。 あとは、パスタやコロッケにハンバーグ。 メニューに載っているハンバーグの写真を見て 私と母はハッとした。 父の作るハンバーグと似ていたから。 でも、ハンバーグなんて、誰が作ってもこんな形になる。 そう思いながらも、この店のオーナーが出てくるのを待った。 その人は、両手にハンバーグの乗った大皿を持っていた。 そして、何も言わずに私たちのテーブルに置くと、 一礼して一歩後ろへ下がる。 私と母は顔を見合せ、ナイフとフォークを手に取り ハンバーグを切って口に運ぶ。 .
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加