大好きな彼

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くそー。 可愛すぎるだろ。 もうギュッってしたい。 チューしまくりたい。 「僕、黒田君が好きだよ。 すぐには応えられないかもしれないけど。 でも、ちゃんと頑張るから。 ちょっとずつ頑張るから。 だから、嫌いにならないで……」 あ、やべぇ。 昴が震えてる。 健気なヤツだよな。 それなのに俺、ちょっといじわるし過ぎたかも……。 俺は俺に必死にしがみついている昴の手の上に、自分の手をそっと重ねた。 「いいんだよ、昴。 そんな無理するな。 俺は昴に無理をさせてまで、そんなことがしたいわけじゃないから」 やっとお前の心を手に入れたんだから。 大切に大切に愛を育むつもり。 俺の言葉にしばらく黙り込む昴。 「ほんとに……?」 「あぁ、本当だよ。 ゆっくりでいいよって、さっきも言っただろ? いつか昴が俺に全部預けたくなるまで、俺はいつまででも待てるから」 俺がそう伝えると、 昴は俺の背中でありがとうって言った。 俺がこんなことを言う日が来るとはね。 もともと気長に待てるタイプじゃないのに。 その日が、何年後になるかもわからないのに。 でも、そんなことどうでもいいくらい 俺は昴のことを好きになってしまったから……。 。 : + * 。 : + * .゜
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