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「ねえ、『美味しい』は?」 「あ?ああ、美味しいよ。美味い美味い」 彼女の薫(かおる)と一緒に暮らしだして二年。 こうして一緒に食事するのも当たり前になってて、正直言って毎回毎回『美味しい』と言わされるのも面倒だと思う事がある。 よっぽどマズイ料理でなければなんだって構わない。 それよりも今は仕事の方が大事。 大口の取引先と契約できるかもしれないというチャンスを逃さない為、毎日必死なんだ。 もし契約を取る事が出来たら、薫と結婚しようと密かに決めているし。 そのためにも今は仕事最優先。 「晋之介くん、明日は何を食べたい?最近忙しそうだし、晋之介くんのリクエストに応えてあげる!」 別に何でもいいんだけど……。 まあ強いて言うならば、俺の好物のアレかな? 「カレーライス!ただし、いつも食ってるような家庭料理のカレーじゃなくて、高級料理店で出てくるような本格的なやつがいい」 仕事でストレスもたまってるし。 滅多に食べられないようなカレーライスをリクエストしよう。 "極上の美味"ってやつを味わってみたい。 「それじゃこの辺のスーパーじゃなくてデパートに行って材料調達しなくちゃ!明日は土曜日だし、一緒に買い物行こうよ!」
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