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「ああごめん、明日は仕事だ。プレゼンが迫ってて追い込みなんだよ。それが終われば少しはゆっくりできるから。悪いな……薫」
「ううん。忙しい晋之介くんのために、とびっきり美味しい極上のカレーを作るから楽しみにしてて!」
土曜日。
プレゼンの準備も大方まとまって、一息ついたところに突然鳴った俺の携帯電話。
「もしもし、薫?今日は遅くならずに……え?あ、お母さんでしたか失礼しました。………………え?いま、なんて……」
『晋之介くん、落ち着いて聞いてね。薫が……薫が、事故に遭ったの。いま病院で手術を受けているんだけど……』
嘘だろ?
だって今日は俺に"極上カレー"を作ってくれるんだろ?
電話を切った後、とにかく急いで病院に駆け込んだ。
薫の手術は5時間くらいかかったけど、永遠かと思うくらいに長い時間だった。
意識不明の重体で、快復できるかどうかはまだわからないらしい。
俺は意識が戻るまで薫のそばを離れないつもりでいたが、保険証や入院の手続きに必要なものもあるから一旦家に帰らなければならなかった。
『これから先の事もあるから、仮眠取ってきなさい』
お母さんからそう言われたが、勿論眠くなんかならない。
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