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本当は必要な物を揃えたらすぐにでも病院に……薫のそばに行きたかった。
しかし仕事で疲れてるのと、薫の意識が戻るかどうか解らないという現実を受け止めることができてない状況でフラフラしてるのは否めなかった。
眠らずともちょっとだけ横になってみるか。
ゆっくり休む気分ではないが、重い身体を引きずるように寝室に入ると、ベッドの上に紙袋が置いてあった。
見覚えのない紙袋。
どうしてベッドの上にこんなものが?
俺が知らないんだから置いたのは薫しかいない。
紙袋を開けて中身を取り出してみた。
「…………なんだこれ?」
出てきたものは綺麗に折りたたまれた布。
広げてみると、それがなんなのかやっと分かった。
それは、男物のエプロンだった。
「なんで男物……。まさか!」
エプロンが入っていた紙袋の中を覗いてみる。
そこにまだ残ったままになっていた封筒を取り出した。
封筒の中に入っていたのは、俺宛ての手紙。
"晋之介くん、お誕生日おめでとう!!"
ああそうだった。
今日は俺の誕生日だったんだな。
すっかり忘れていたけれど、薫はちゃんと覚えていてくれた。
もしかしてこのエプロンが誕生日のプレゼントか?
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