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薫が事故に遭い、意識を失ってから一週間が経過した。
薫の意識はまだ戻っていない。
あれから毎日時間が許す限り病院に通っているが、何も変わりはなくただ時間が過ぎて行くだけだった。
プレゼンは終了し、俺たちは大口の契約を取る事が出来た。
喜ばしいはずなのにちっとも嬉しいなんて思えなかった。
ただ、薫の事故の事で仲間に心配かけたり、病院に行く時間を作るために迷惑をかけたりしたから、プレゼンが成功してホッとしているというのが正直なところだ。
今日は土曜日。
仕事が休みだから薫のところへいくつもりだけど、その前に俺はどうしてもやりたいことがあった。
薫がくれたエプロンを着用し、さっき近所のスーパーで買ってきた材料をテーブルの上に並べる。
ジャガイモ、人参、玉ねぎ、牛肉、カレーのルー。
そして、椎茸、しめじ、舞茸、エリンギ。
そう、今から作ろうとしてるのは、きのこカレーだ。
薫には『本格的なカレー』をリクエストしたくせに、俺が作ろうとしてるのは家庭的な普通のカレー。
料理なんて小学生時代の調理実習以来なんだから、仕方ないだろ?
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