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「それは、どう言う……」
訊ねる声はたどたどしい。口の中は乾き、上手く言葉にならなかった。
「……言葉の通りです。さ、もういいでしょう? 早く……誰かを殺さなければ……。私は人より時間がない。早く出て行って下さい」
正直まだ訊きたいことはあった。
だが冷視されれば、これ以上は訊けない。
「……ありがとうございました」
神藤はお礼を言って、ここから出ようとする。
だが背を向けた時、朝里の悲鳴のような声が聞こえてきた。
驚き慌てて振り返る。
朝里は苦しそうに頭を抱え、「ああぁぁぁ!」と叫んでいた。
何事だ? と目を見張る。
そんな神藤に朝里は、強烈な憎悪を孕んだ目で睨んだ。
「お前が……! お前のせいで時間がなくなっただろう!」
……時間?
訳が分からず、困ったように朝里を見る。
「私には時間がないと言っただろう! 人によってゲーム終了の時刻は違う! 私は仕事で起床時間が早いから、人より終了も早いんだよぉぉ!」
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