第4夜 ー黒馬ー

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 朝里は神藤を殺すつもりはなかった。  新人と言うことに同情し、だからこそ知っている範囲内のことを教えてやった。  それが餞(はなむけ)と言わんばかりに。  だが制限時間がやってきたことにより、事情は変わった。  同情した自分を恨み、話し掛けてきた神藤は憎しみに変わる。  誰かを殺さなければ自分が死ぬ。  制限時間が迫っている中、ゆっくり誰かを捜す暇などない。  と、なれば、答えは出たようなも。  ――目の前の人間を殺せばいいのだ。  理性を失った朝里はただならぬ剣幕で、神藤にナイフを向けた。 「死ねえええぇぇぇぇ!」  狂った叫びを上げ、走り出す。  神藤は朝里に圧倒され動き出せず、その場に固まってしまった。  だがピタリと、目の前で動きが止まる。  泳いだ目で朝里を見つめれば、彼は恐怖に青ざめた顔をしていた。
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