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「あ……。ああ……」
口から零れる言葉は恐怖によるもの。
朝里の目は泳ぎ出し、開いた口が小刻みに動く。
視線は神藤を見ておらず、不思議に思い後ろを振り返ってみた。
――そこにいたのは、1匹の黒馬。
闇のような色をし、体の輪郭は炎のようにゆらゆらと揺れている。
それを見て神藤は、ハッと目を見張った。
その黒馬はアプリのアイコンに描かれていた、黒馬の絵とそっくりだったからである。
神藤にも緊張が走り、ぶわっと汗が吹き出た。
何故だか分からないが、黒馬から言いようのない恐怖が押し寄せてくる。
ふたりが見つめる中、黒馬の赤い目が開かれた。
「ひっ!」と朝里が悲鳴を上げると、後ろにいたはずの黒馬は、気付けば朝里の背後にいた。
カランと、朝里の手からナイフが落ちる。
だが落ちたのはナイフだけではなかった。
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