第4章

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もっと抱きたい――めちゃくちゃにしたい。 多紀さんの身体の奥の奥まで快楽を刻み込んで、 俺に抱かれた事を二度と忘れられないようにしてしまいたい。 昏い欲望をかろうじて振り払うと、 俺は多紀さんの身体を濡れタオルで清めた。 寝室から持ってきたタオルケットで冷え切った身体を包みこむ。 涙の痕が残る頬に、 指を触れた。 「――すき」 ごめんなさい、 と言おうとした唇から出た言葉に、 自分ではっとする。 そう、 好きなんだ……俺は、 この人が――多紀さんが。 初めて会った時から、 ずっと。 たとえ自分のものにはならない人だとしても、 それでも。 「すき、 です」
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