料理と言えるのかな

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「言い訳じゃないけど」 いや、まさにこれから私は言い訳しようとしているんだけどね。 「環境って大きいと思うの。ほら、うちってお姉ちゃんがいるじゃない? でもって、去年死んじゃったけど、おばあちゃんもずっと同居してたし」 私の話の行方が掴めないみたいで、ハルが「ん?」と首を傾げた。 「つまりね。狭いキッチンに女が3人立ってたら、4人目はもういらないでしょ? だから、私はいつもお父さんと一緒に、料理が出来上がるのを待つ人だったわけ」 「ああ、そういうこと。大丈夫。ヒナが料理上手だなんて最初から期待してないから」 ニッコリと優しく微笑んだハルは、私にプレッシャーを与えまいとしてくれてるのかもしれないけど。 随分、失礼なことを言われている気がするのは、私の気のせいかな。 ハルの家の合鍵を失くしたお詫びに何かしたいと言ったら、「ヒナの手料理をごちそうして」とリクエストされた。 ハルに料理を作ったことはある。 初めて作ったのはロールキャベツだった。 別にハルの大好物というわけではなく、私の得意料理というわけでもない。 それなのに作ろうと思ったのは、手が込んでいるように思えたから。 不器用な私はキャベツを綺麗に広げることすら出来なくて、結局は母にほとんど作ってもらう羽目になった。 「お母さんが8割ぐらい手伝ってくれた」 そう言いながら保存容器の中のロールキャベツを見せると、ハルは涙を浮かべて喜んでくれた。 ピクニックのお弁当に卵焼きとブロッコリーのからし和えを作ったこともある。 他のおかずは母の手作りだったけど。 そう考えると、私が100パーセント手作りする食事というのは、これが初めてかも。 ハルの目の前で料理するのも。
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