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「これ、ただ焼いただけ?」
旨い旨いと呟きながら、ハルは鱈のバター焼きをパクパク食べてくれた。
「生鱈じゃなくて甘塩鱈だから、程よくしょっぱいの。ホントにただ焼いただけだから、料理とは言えないよね」
愛情を込めて作った料理が美味しいというのが本当なら、私が作った料理は間違いなく美味しいはずだけど。
「そんなことない! 立派な料理だよ」
力説しながら食べてくれるハルを見ていると、胸がじんわりと温かくなった。
好きな人に美味しいって言ってもらえて、見つめ合って微笑みながら一緒にご飯を食べられるなんて幸せ。
ハルが”旨い”と言うと、私が作ったものでも何だかすごく美味しく思えてくるんだから不思議。
ハルと2人で食べた鱈のバター焼きは、いつも母が作るものよりも美味しく感じられた。
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